大村亘 ドラマー/作曲家 


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ニューヨーク録音

ニューヨークでスタジオレコーディングするのは二度目です。

前回はBungalowの処女作、Metropolitan Oasisを収録する為に、アルトサックスの山本昌広がまだニューヨークに在住だった頃にメンバーで訪れ音の記録を残しました。

あれから7年。

思えばあっという間でしたが、あの頃のBungalowの事を思い出すと懐かしい気持ちと、つい昨日の事の様にさえも感じます。

数字にされた月日が流れるのは速いものです。
しかし、本質的な時間の流れ方は皆が信じ込んでいる時間のシステムとは違うのではないかな?と、思う事も良くあるのです。今回の録音もあっという間に遠い過去の棚に納まり、そして色褪せない親しい記憶になる様な予感がしています。

今回のプロジェクトのパートナーDavy Mooneyとは丁度そのBungalowの1st Album制作した時期に知り合いました。彼と大学の同期だったJeff Curryという日本在住のとても良い感じのベーシストが紹介してくれたのが事の発端でした。
Jeffの紹介以前から僕はアメリカのジャズのシーンを絶えず新譜やYoutubeで追ってたのでDavyの洗練された演奏能力と音楽性は知っていました。肩書きもThelonious Monk Institute卒、Herbie HancockのバンドやBrian BladeのFellowshipにも参加したり、Thelonious Monk Competitionで3位(その年の1位はLage Lund, 2位がMiles Okazaki)と個人的には革新的な個性を持った若手の猛者の中から頭角を現している存在だったので会うのが楽しみで仕方ありませんでした。

実際会ってみると、人柄は温かく、とても落ち着いた物腰で、知性的で人間としてとてもしっくりとくる存在でした。
それは彼の音楽にも現れていると思います。

それからセッションやライブを重ね意気投合し、いつか作品を作りたいねとお互いに話していました。

月日は流れ昨年の半ばにDavyから日本を一緒にツアーしたいという申し出があり、色んな偶然が重なりニューヨークで作品を作れる機会が目の前に現れました。結果僕一人ニューヨークに飛び、お互いのオリジナルを半分ずつ持ち寄り作品を作る事となりました。

集ったメンバーはJohn Ellis, Glenn Zaleski, Matt Clohesyという、ニューヨークでもコンテンポラリージャズからストレイトアヘッドなものまで美しい感性で仕立てる能力に長けた面子でした。上記メンバーの肩書きはここでは割愛させて頂きますが、彼等について少し綴りたいと思います。

先ず、ピアニストのGlenn Zaleskiは数年前からの友人です。演奏も幾度か重ねた仲であり、彼の結婚式にも呼ばれ、通訳を任せれたり等、気心は知れていました。Glennのハーモニーのセンスとピアノのタッチは抜群です。
そしてなにより、オリジナル曲が内包している物語を詩的に紡いで行くセンスに長けています。
僕の書くオリジナル曲は少しクセがあって、通常のジャズがとてもお上手な人に任せても任せきれない部分が点在しています。ジャズはコードやメロディーに沿って、その音楽の歴史上『Hip』、いわば俗に言う、イケてるフレーズをアドリブで紡いで行く所作が幾つもあります。アドリブのスタイルは吸収して来た音楽に因って変わりますし、タイムやグルーブのジャンル分けというのも、ミュージシャンの間に確執が有る様に感じます。音楽家の主観に因るジャズらしくなる金字塔テンプレートは幾つも存在します。
自分の書く曲に関してはその様なスペックだけで臨んでも、どうも?が残ってしまう演奏になりやすいのです。
いわば五感を超えた第六感を問われると言えば解りやすいでしょうか。あくまで五感で処理しきれるところを押さえた上でです。Glennのピアノは伴奏、ソロ、双方に於いてもそのジャズの金字塔を作る知識から来る高いスペックを超えたところで音を出してくれます。

テナー奏者にはとどまらないマルチホーン奏者のJohn Ellisは長年の憧れでした。
数居る怪物レベルのニューヨークのテナー奏者の中でも彼の音の立体感は飛び抜けていると感じていました。
Kendrick Scottのバンドで彼を観たときは、シングルラインなのに、ハーモニックな要素を出せるドラムやピアノと引けを取らない、いやそれ以上の音の凹凸を有機的に体現していました。音色とタイム感が抜群なのは言う迄も無いのですが、ブレスの使い方に関する意識が非常に高かったです。そして、職人的な引き出しを無数に持っているにもかかわらず、セッションやリハーサルでは、バンドに対する建設的なアイデアを次々に出してくるタイプでした。
これはオーストラリアやニュージーランド、ヨーロッパ、そして勿論アメリカのトップレベルのミュージシャンに通ずる事なのですが、具現化されてないアイデアをその場形にして行く決断速度が非常に速いです。

ベーシストのMatt Clohesyは今のニューヨークのアイコンとなるプレイヤー達のファーストコールのベーシストで、ありとあらゆる録音に参加して来ています。彼のクレジットを見ると、百戦錬磨である事が伺えます。元々彼はオーストラリア出身で、僕は彼がニューヨークに移った当時にオーストラリアで当人の演奏を観ています。当時大学生1年生だった自分は、Mattの音の良さ、初見の強さ、伴奏に於けるペース配分の良さ、ソロのシンプルかつ深く歌わせるセンスは大好きでした。
僕の憧れて来たドラマー達と日々演奏している人なので、少し緊張感は有りましたが、一緒に音を出し始めると楽しさと心地良さが勝って、この感覚を提供出来るからこそ、多くのアーティストから信頼が厚いのだなと腑に落ちたのです。

そんな彼等とは3時間程のリハーサルを一度やっただけでその翌日から2日間スタジオに入り、2日目の午後にはほぼ完成というスピードで今回のレコーディングを無事終えました。

今聴き返してもその短期間でここ迄仕上げてくれるのは、当人達の腕がどれだけ良いかの証明ですし、この感覚とクオリティーで絶えず音楽をやらないと、この先の進化は望めないなという自分への戒めにもなりました。

という事で、本作品Benign Strangers(穏やかな、知らない人々)←は直訳ですが意訳すると、

『知る由のなかった和み』

の様なニュアンスです。

じっくり聴いて欲しい一枚です。

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                 BrooklynのBig Orange Sheep Studioより

     エンジニアはKurt Rosenwinkelの作品で大好きなHeartcore等も手がけたMike Perez Cisnerosさん



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by koomuraa | 2018-03-26 22:39 | mUsIc