大村亘 ドラマー/作曲家 


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Mike Rivettとの対話

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テナーサックス奏者Mike Rivettは現在、オーストラリアのシドニー市街に在住している。
ここ数年間はニューヨークの名門校であるManhattan School of Musicの奨学生としてジャズの研磨に励んで来た。現地の若手のシーンの中でも着実に実力を認められ、様々な活動を展開して来た。東京にも在住経験があり、当時は鈴木良雄、Hakuei Kim, 佐藤浩一、石田衛をはじめ各世代の代表格である演奏者達との交流も深めていた。ヨーロッパ、アメリカ、日本で演奏活動を展開して来た彼が、生まれ故郷のオーストラリアに拠点を移し新しいスタートを切った現状を聞いてみました。

Question(以下Q): シドニー音大を卒業して以来、実に6年ぶりのシドニーだけどどう?

Mike Rivett(以下MR): 現時点で言える事は旧友との再会を楽しんでる事ぐらいだよ。音楽的には大きな動きはまだそんなにしてない。Mike Nock Trioで僕の先生であるGeorge Garzoneと2管でコンサートをしたのはとても楽しかったけど、それはさておき、まだ何もかもが新しいよ。元住んでたところとはいえ、シーンも色々と変化を辿って来たみたいだし。新天地では時間をかけていきたいと思う。自分自身の演奏に対してはとてもいい反応を貰ってるし、興味は抱かれてるから嬉しいよ。新しいプロジェクトをはじめるのには絶好の機会だと思ってる。時折ニューヨークの音楽シーンの刺激的な部分が恋しくなるけどね。。。

Q: Mikeは元々Cairns(ケアンズ)出身だよね。大自然に囲まれた素晴らしい場所だけど、その環境が自分の音楽的な発展にどのように影響を与えたか聞かせてくれる?

MR: 熱帯雨林に囲まれてる環境は自分にとって大きなインスピレーションだった。直接音楽的に影響があるというよりは、精神面でいつも強い存在感を感じてた。『音楽』そのものは自分にとって大事なものなんだけど、それ以外のものが自分を駆り立て、精進する原動力になっていると気付かされたね。

あと、ケアンズではテクノやエレクトロニカを主体とするダンズミュージックのシーンが栄えてるんだ。性能の良い巨大なスピーカーシステムを、星空を纏った熱帯雨林の脇にセットアップして、爆音で音楽を聴くのは大きな衝撃と刺激を僕に与えてくれたね。このシーンに深く関わってた訳ではないけど、影響は受けたよ。

Q: 今までにケアンズ、シドニー、東京、ニューヨークと様々な場所で生活し、音楽活動をして来た訳だけど、各都市の共通点や個性的に明らかに違うところとはどんなものかな?

MR: それぞれの場所には全く違う質感とペースがあると思う。共通点と言えば、各都市に素晴らしい友人達が居る事かな。それによってその場所に対する自分の印象や思い入れも変わってくる。音楽面においても場所によって方向性に変化があると思う。

Q: というと?

MR: 例えばケアンズで僕はダンス音楽やエレクトロニカの制作活動しかしてないんだ。シドニーではロック影響を含んだジャズやファンクに傾向してる。東京ではモダンジャズを主体とするスタイル。ニューヨークでもそうなんだけど、楽曲にオリジナルが多く、より難解でクロマティックな要素を含んでる。テナー以外の楽器を吹く事もニューヨークでは多いよ。たまたま僕が一緒に仕事をする作編曲家達がオーケストレーションに凝ってるだけかもしれないけど。

Q: 音楽面以外ではどう?

MR: ニューヨークのエネルギーは刺激的だね。文化も経済も栄えてるから世界の中心的な感覚があるよ。居るだけで楽しいし創造性を駆り立てられる。

東京は僕にとってちょっと狂乱してる場所(笑)。夜はネオンの光が眩しく、人の動くペースがもの凄く速く感じるし、何処で何が起こっててもおかしくない気がするよ。食事する場所や居酒屋も無数にあるから何年かかっても開拓しきれない感じがするよ!

シドニーは東京やニューヨークと比べると落ち着いてる。リラックスするには最高。ミュージシャンの質はとても高いと思うよ。

ケアンズは亜熱帯の楽園。残念なのはライブ音楽のシーンがとても小さい事。

Q: 音楽面も生活面もとても幅広い印象を受けるね。各都市で影響を受けた素晴らしい若手等いる?

MR: 勿論沢山いるよ!

先ずニューヨークだとピアノでSullivan Fortnerが素晴らしい。予期せぬアプローチと予測したところより更に美しい場所に音楽を持って行ける能力にとても秀でている。とてもバランスが良いんだ。即興という土台の上での緩急の付け方が素晴らしい。宇宙とリンクしてる感じがする人だよ。

東京だとピアニストの石田衛。もの凄く良い刺激を受けたよ。
彼は自分の演奏する音楽の根源をとても深く理解しているんだ。ジャズやハーモニーの歴史を熟知している。耳がとても良い上に、自発的な創造力にも富んでいる。
音楽に大切な要素をいつも提供してくれると同時に、自由にどこへでも行けてしまうから凄いよ!
人間的にもとても謙虚で素晴らしい友人です。

オーストラリアからだとギタリストのJames Muller。今世界レベルで活躍しているギタリストの中で10本の指に入ると思う。タイム、フィール感覚、テクニック、全てにおいて卓越した能力を備えてるんだ。


Q:では現在、自分の中でジャズという音楽に関しては、どのような方向に向かってるの?

MR: 現在僕の中でジャズは2つの方向に向かってる。先ず僕はジャズスタンダードを完全にアコースティックな設定でシンプルに美しく演奏することを一つの目標にしてる。世界をあっと驚かす演奏にはあまり興味は無いけど、素直で自分らしい歌い方や音色を心がけてる。

もう一つは質感やエネルギーを重視したジャズ。ロックバンドが観衆に与える興奮度に似たようなものを、より洗練されたハーモニーや楽曲構成を通して達成したい。曲として、ソリストの個性を存分に引き出せる作品を残したいと思ってる。メロディーや対位法を刺激的かつ、有機的に表現したい。今はフーガを勉強してて、その対位法をなんとかモダンのアンサンブル様式で活用出来ないか色々試してるんだ。

Q先程の話だと、Acousticな方面の音楽とElectronic寄りの音楽に関わってるようだけど、自分自身の中ではどのような違いや美的感覚の相似があるのかな?

MR: 僕自身、今挙げられた2つ音楽形式については、、全くの違うものとして捉えてるよ。

先ず、acousticな音楽は生身の人間同士の個性から来る表現力や生の楽器から出た『音』による会話を楽しむ場所だと思う。その『時間』、その『場所』にしか存在しないエネルギーを共有する事が出来る特別な体験が出来る。僕の中では、可能性、躍動性を沢山含んだ音楽なんだ。その瞬間広がる『不可能』なことを『可能』にしようとする、チャレンジングなものだね。

Electronicな音楽は精密さと完全性をとことん追究するプラットホーム。とても科学的だと思う。グルーヴを押し進める為の細かい音楽的要素をとことん突き詰めて磨きをかけて行く。例えば打撃音の反響を逆から再生させて独特のウネリを加えたりする等、無限に広がる音色のパレットを使って音に抑揚を加えて行くんだ。ハーモニーや音符そのものより、リズムの発し方、装飾のの仕方、バリエーションの加え方で音楽を作って行く過程。

Q: なるほど。とて参考になりました。ちなみに、
ちょっと話が反れるんだけどマイクは料理上手だよね。料理の創作意欲と作曲作業には関連性はあるの?

MR: 料理はその行程が好きなだけだよ。作曲は経験に基づいた知性が絡んでくるからちょっと料理の楽しみ方と違うな。

Q: でも、料理も経験や知識、知性を活かして作るのでは?

MR: 勿論。ただ僕の場合はただ単純に美味しく作りたいだけ。例えるならば、料理はバッハの曲を上手く演奏するようなもので、バッハのように創造的になるのとはちょっと違う。作曲は後者だね。僕の中では。

Q: 興味深い例えだね。じゃあ、レシピを開発するようになったら、料理も作曲に近いものがある?

MR: そう思う。

Q: じゃあ味覚の刺激と音楽面の創造性はあまり関連性はないんだ?

MR: 音楽を創ろうとする行為は、抽象的なアイデアを音という媒体を通して何かしら形にする事なんだ。味覚に関しては抽象的というより答えが明確だからね。美味いか、美味くないか(笑)。

Q: 抽象的なアイデアというものについてもう少し説明してもらえる?

MR: 楽曲に関する大雑把なイメージや、その曲の保有するエネルギーの輪郭みたいなもの。抽象的だから言葉で上手く表せないや(笑)

Q: じゃあ例えば文学や映画は自分の音楽に影響を与える事はあるの?

MR: 直接的な影響は無いと思う。ただ、良い文学や映画は想像力やイメージを膨らますからどこかで影響はあるのかも知れない。

Q: 作曲するためのインスピレーションや心がけてる事とは何?

MR:僕の場合はさっきも言ったように、抽象的なアイデアを明確に具現化したいから、作曲作業そのものは計画性に富んでるよ。メロディーやハーモニーを考える以前にムード、テンポ、質感、保有するエネルギーを考える。それによって楽曲がどのようなサイズのフォームが良いか定める。あとは、各セクションに使用したメロディーのモチーフやテーマを他のセクションにも反映させる。例えばサビで出て来たメロディーの断片を基盤に、アウトロのベースラインを作ったりとかね。このようにプランを持って、段階を踏む事によって、発展性のある曲が出来て行くんだ。

あと最近はクラシカル音楽の勉強をもっと大切にしてる。自分の中で斬新だと思ったアイデアはもう既に誰かがやってたりするんだ。Dave Liebman曰く、

『新しい事なんて無い。プレゼンテーションの仕方が違うだけだ。もし新発見をしたと思ったら勉強不足、あるいは真の天才かどちらかだ』

全くその通りだと思うよ!

Q: クラシカルの作曲家で主に影響を受けた人達は?

MR: Bach, Ravel, Debussy, Stravinski, Bartok。

Q: マイクらしい(笑)。最後に、これからどのようなミュージシャンを目指して進んで行きたい?

MR: 単純なゴールだけど、自分の中でのベストをいつも全うする事。絶えず勉強してなきゃいけない道のりだし、それを通して少しでも高い水準に到達して行きたい。最近は音楽がオリンピック化してる感じがあるけど、そういう競争的なものよりは、自分の正直な音を追い求めたい。

あと自分の思考回路を、より鋭敏に働かせる事。磨く事。
即興する事やジャズを学習する事は凄く良い運動になるよ。

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by koomuraa | 2010-10-17 03:43 | iNtErViEwS