大村亘 ドラマー/作曲家 


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5度目のインド

インドから帰国して間もなく一ヶ月が経過しようとしています。

帰国直前は既に長い年月インドに滞在し、もはや日本で何かをしている自分すら想像出来ない程、インドの香り、時の流れ、移り行く人々、飛び交う言語の海に心を無心にして浮かんでる様な気持ちでした。

その精神状態は、体がその特異な土地を離れても継続しますが、やはりどうしても無性にあの土地で感じ取った何かに心を寄せたくなるものです。

帰国後もすぐに中村真トリオでのツアーが始まり、目まぐるしく全国を移動していて、つい数日前漸く東京に落ち着きました。東京という都市に新鮮だなという感覚を覚える事に違和感を感じていたのですが、実質2017年に入り、東京で過ごした時間は2週間しか経っていない事に気付きました。。。

旅をしていると、心情が、移り行く景色と共に呼吸をし、束の間、あるいは刹那的な風景にとても凝縮した時間の流れを感じたりするものです。真夜中のムンバイの街をオートリクシャに乗って、二度と観る事の無い人達の様々な生の形を目の当たりにするのとどこか相似した感覚を覚えます。

毎度インド滞在では、今までの滞在と全く異質の何かを気付かされ、驚かされ、考えさせられ、のお土産が付いてきます。

今回のお土産はなんだったのだろうと、この一月考えていました。
日本全国うろうろしながら。

それは、実はどうやら僕はタブラを学ぶ為だけにインドを訪れてる訳では無いということ。

この事に対する認識は数年前から微かにあったのですが、今回の旅でより明確になりました。

2月頭、タブラの師匠のヨゲッシュ先生に一つのフレーズを到着してすぐ教わりました。

見本を見せて貰った時、そのあまりにも素晴らしく、表現力溢れたフレーズに感動して、自分のものにしたいという感情が溢れ出ました。
内心で、『このフレーズを毎日数時間しっかり叩けば3月末帰国する頃にはある程度叩ける様になってるかな。』

と今でもその心の声を克明に覚えてます。

1週間が過ぎても、滑らかに指が動きません。
2週間で少しマシになったかと思いきや、先生には、
『低音部のスピード感が高音を担う手順に比べたら抜けて来ないね。もっとゆっくり練習してご覧。』
その先2週間ゆっくり練習するが、なかなかイメージしてる、もしくは先生の様な低音が鳴らない。

そんなこんなで押し問答を7週間続け、帰国数日前になったが、結局上達したのはほんのわずかでした。

『7週間は短いですね、最初に教えて頂いたフレーズに尽くしたつもりですが、こんな結果しか出ませんでした。なんだか、もっと時間が欲しかったです。』

すると先生は軽く笑い、

『7週間は長いよ。ただ、何を主体に置くかで変わるものだよ。私が君のレベルに合った短いタブラの古典レパートリーを渡し、それを君が数個マスターするのには充分な時間だ。しかし、この旅で君に最初にあげたフレーズをマスターするにはあまりにも短いね。』

先生、最初からお見通しの様でした。
そしてこう続けました、

『知性とは、授かった知識から結果を期待したり求めない事だ。その知識の可能性を断定や制限しない為にね。だから今出来ないという結果に捕われなくていい。今理解出来ないという感覚に囚われなくても良い。その結果は極めて一時的で、いずれ別の行程に繋がり、君の旅をより豊かなものにしてくれる。』

その言葉は、タブラというとても難易度の高い楽器を通して、その他のありとあらゆるものに応用出来るアドバイスだと直感的に感じました。

利便性や結果を絶えず求められ生まれる現代人の精神の歪みというものがあります。
表面的な結果や、形以上の深い何かがあり、それこそが価値のあるものなのだよと、先生は7週間かけて僕に教えようとしてくれていたのだと思います。

その証拠として、なかなか上手くならないそのフレーズを絶えずモニタリングされてましたが、
『まだ出来ないのか?ちゃんと練習してるのか?』
等の台詞を先生は一度も言いませんでした。

僕の中の何かを試し、僕の中に何かの種を植えてくれたんだと思います。

その種の具体性は断定出来ませんが、数年、数十年経って、僕がまだこの人生を歩き続けていたら、揺るぎない財産になっている事にだけは、謙虚な自信があります。

またインドを訪れる日が待ち遠しい。
そして、あの街の香りが恋しく思えた初春の深夜でした。
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by koomuraa | 2017-04-26 00:20 | InDiA