大村亘 ドラマー/作曲家 


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先生について

連休明け仕事に戻るのが楽しみで仕方ないという方々。
休みが永遠に続けばいいのになと考えてる方々。
その両極の間のどこかに浮遊している方々。

そんな時間の中で僕がインドで聞いた少しほっこりするようで、
心をくすぐられるお話しをシェアしたいと思います。

僕のインドのタブラの先生Pandit Yogesh Samsi(以下YS)さんは幼い頃からインド古典音楽界の伝説的なタブラ奏者Ustad Alla Rakha KhanSaheb(以下AR)に幼い頃から見込まれ修行に取り組んでいました。
当時ARさんの息子Zakir Hussain(以下ZH)がインド古典業界で一世を風靡していた頃で、今世紀最高の天才とあがめられていました。やがて世界に出ていきジャンルと国境をまたいで数々の伝説的な演奏を記録していくのですが。。。

当時のYSさんは彼に追いつこう追いつこうと必死に練習していました。
聞くところによると学校の無い日は夜通し明け方まで(僕もこの練習メニューに付き合ったことありますがとてもハードです)

ところが憧れの天才のZHさんの師匠で自分の師匠でもあるARさんには怒られてばかりだったそうです。
何度やっても先生の満足を得られない果てには、

「お前にはこれは一生出来る様にならないんじゃないか?もういい。帰れ!」

とまで言い捨てられたそうです。

へこんだYSさんは数日間レッスンに行かなかったそうです。

その数日後、師匠のARさんから電話があり、

「今すぐ来い。今日はRavi Shankarさんの伴奏仕事だ。同行しろ。」

破門寸前だと思って気が乗らなかったYSさんはそれでも師匠の呼び出しなので出向きました。

タクシーに師匠と同乗し、最初に行き着いた場所はコンサート会場ではなく、YSさんの父(今は亡きPandit Dinkar Kaikini。著名で方々から尊敬されてた古典声楽家。)の当時教えてた音楽学校の彼の校長室でした。

「お前はここで待ってろ。」

と父の事務所の前の廊下に立たされたYSさんの心境は、

{きっと、もう僕に教えることは無い。稽古に息子をよこさなくていいと父に話してるんだろうな。。。}

と思ったそうです。

ほんの数分で出てきたARさんはYSさんを連れそのままコンサート会場に向かったそうです。
その日ARさんとYSさんの父の間で交わされた会話は明かされませんでした。
その日からもずっとARさんはYSさんを厳しく教えたそうです。

時は流れて25年。。。。。。

そのとき僕の先生のYSさんはインド古典業界で類を見ない実力者に成長していました。
世界中に弟子も居て大天才とあがめられていたZHさんも、

「父の伝統は私より彼、YSの方が熟知してものにしている。」

と絶賛するほどに。

師匠のARさんは他界もされていました。

ある日YSさんの父が、

「お前がまだ稽古真っ只中の時、一度ARさんがお前を廊下に待たせ私に会いに来た事を覚えてるか?」

とYSさんに問いかけました。

「もちろんです。とても不安な気持ちで廊下に立ってました。」

「あの時ARさんは、

{そこの廊下に立っている少年は、今世の中を騒がせている私の息子ZHとなんら変わらない素質を備えている。父としても見守ってやってくれ}

と私に告げてくれたんだよ。」

と。

長い間息子が成長する中で、真の成長の路線に定まった息子を見るまで、その太鼓判を伝えるのを長年待ったYSさんの父の偉大さに心打たれました。

そして先生とここ数年接してきた僕個人の解釈ですが、
彼は名声や周りの評価などに興味が無い人なのです。
それよりも重要なものがあるということを彼の父から教わったのだなと感じました。

今でもYSさんのご自宅には亡き父Dinkar Kaikiniさんの大きな写真が飾ってあります。

その容貌はとても奥深い瞳で優しい笑顔でなんとも言えない恍惚感にあふれています。
いつもインドでの修行が終わると先生の自宅に晩御飯に呼ばれます。
食前酒を彼の父の大きな写真が飾ってある居間で雑談しながら頂きます。
その空間の温かさは、僕が今までの人生で味わったものの中で最高のものです。

生きる中で何事も表面では悲しいことや、辛く耐え抜かなければならないことの裏にはとても大きな教えが含まれていると思います。

辛抱強く誠意をもって向き合うことの価値は万物万人に共通することなのかもしれません。
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by koomuraa | 2016-05-07 23:54 | InDiA